私は、学校で学んでいた専攻分野とはあまり関係ない、IT系の会社に入社しました。そのことについて書いてみようと思います。面接に落ちまくって病んでいたあの経験も、全然無駄じゃありませんでした(と信じたい!)。
専攻と就活、理想と現実の大きなギャップ
大学で専攻していた分野はデザインでした。そのため、就活の当初は、広告制作会社や印刷会社の面接を受けました。
でも、面接を受けているうちに、グラフィック系のデザイナー職やその組織が持つ、仕事内容以外の窮屈さを感じてしまいました。縦社会だったり、勤務時間の拘束、給与面、やっぱり斜陽産業なところなど、ネガティブな面ばかりが気になってしまいました。
それまで可能性や魅力を感じていたデザインが持っている力どころか、とうとう、なぜその会社に入りたいか、その理由すらはっきりしなくなって、当たり前に面接も落ちまくりました。
すくすくとデザインへの興味が育っていった、幼稚園から高校時代
デザイン専攻に進もうと思ったきっかけは、幼稚園の頃にまで溯ります。祖母の前で干支のイラストを描いた時、『12種類のそれぞれの動物がちゃんと分かるよ、すごいね!』と褒めてくれました。自分が描いた絵が相手に伝わって、嬉しかったことが原点です。
中学生になり、グラフィックデザイナー寄藤文平さんの「ラクガキマスター」という本に出会います。絵を楽しく描けるようなキホンをまとめた本だったんですが、内容を分かりやすく伝えているイラストや本そのものに興味が湧いて、デザイナーという仕事に興味を持ちました。
▼ラクガキ・マスター 描くことが楽しくなる絵のキホン | 寄藤 文平 著
https://www.amazon.co.jp/dp/4568504058
さらに、中学3年生で自分の地元で開催された平和ポスターのコンクールで、賞を取りました。自分の伝えたい思いが審査員の方へ伝わったことが嬉しくて、職業としてポスターを作るデザイナーになりたいと思いました。進路を選択する時には、「人生は1度きり」だし、折角ならデザインを本格的に学んでみたいと思い、高校からデザインの道に進みました。
高校では、絵の基礎を広く学びました。デッサンや色彩から、レタリング、製図、PCソフトウェアの使い方、印刷、写真、プロダクトデザインまで、幅広い知識に触れました。ただ、高校では網羅的にデザイン全般を学んでいたので、大学では専門的にグラフィックデザインを学びたいと思い、美術系の大学のデザイン専攻に進みました。
大学に入学してからは、グラフィックデザインを学び、ポスターや冊子、パッケージ、インフォグラフィックスなどの作品を作っていました。学んでいくうちに、ポスターやパッケージなど、紙媒体が実物として持っている、情報伝達手段としてのデザインの力が好きということを再認識しました。社会人として働くなら自分の好きな分野でしたいと思い、大学3~4年の就活初期の志望職種は、広告制作会社や印刷会社のデザイナーでした。
志望職種は変えず、業種をIT系企業に広げてみた理由は
面接に落ち続けていた時、就職サイトのエージェントさんから、『IT系企業のデザイナー職を受けてみたらどうですか?』と提案してもらいました。
エージェントさんはきっと、自分のノルマ達成のために、就職の間口が広告会社や印刷会社ほど狭くないIT系の企業を勧めてくれたんだと思います。確かにあまりにも落ちていたので、とりあえず業種の環境を変えてみたら何か変わるのではないか?と漠然に思ったのが、IT系の会社へ興味を持ったきっかけでした。でも、私にはこれが結果的によかったのです。
IT企業の説明会や面接を受けているうちに、もっと視野を広く持ってみたい、今まで学んだことのない新しいことを学んでみたいと思うようになりました。自分のビジョンや求めている働き方、今まで学んだことが生かせる仕事が、IT系企業にもあるのではないかと思い、志望職種は変えず業種を幅広く見られるようになりました。
IT企業の面接を受ける前のイメージは、のびのび仕事ができるのかなと思っていましたが、実際に受けた後の印象も同じでした。確かに上下関係はあるけどきつすぎない、穏やかでフラットな雰囲気を感じました。
私は、勉強すること自体がとても好きだというタイプではありません。ただ、知らなかった知識を吸収することは好きです。今まで理解できなかったことや、気付かなかったことが理解できる感覚が好きなんです。そんな私は、会社に入っても自分の知らない知識を吸収して学びたかったのです。
でも、ある広告制作会社を受けた時、『会社は学びにくるところではない』と断言されてショックを受けました。今、考えると舐めた考え方だったかもしれませんが、自分が面接を受けたIT企業はどこも、自分の意思があれば学べる環境があるところがほとんどでした。それが、私がさらにIT系企業に関心を持つきっかけの一つになりました。
開き直ったのに、落ちた…と思ったBlueMemeという会社になぜか入って
そんなIT企業の一つとして、BlueMemeの面接を受けた時はもう夏になっていて、めちゃくちゃ焦ってました。でも何故か2次面接を終えた時に、この会社に入ることになるんだろうなと謎の確信がありました。
相変わらず面接に落ちまくっていたので、BlueMemeの一次面接では開き直って、今まで他社で話していなかった趣味のことも話してしまえ!という態度でした。面接の担当者から矢継ぎ早に質問されたものの、面接史上最短のたった15分しか話ができませんでした。正直、『また、落ちたな…』と思っていたのですが、結果的に通って二次面接へと進みました。それをきっかけに、『もしかして、自分のありのままの姿を受け入れる会社に入ったほうが幸せなのでは?』と、考え方がポジティブになりました。その頃には、友人と遊べるところまで精神が回復していました。
いろいろな会社の面接を受けましたが、ポートフォリオの作品集を見せたとき、作品の表面的な見た目ではなく、『なぜそのような名前にしたのか?』『名前の意味はどういう意味なのか?』と、中身や考え方に関して質問されたのは、BlueMemeだけでした。私は元々、作品を作っていた時にコンセプトを重視していました。結果と同じくらい根本の考えや過程を大切にしている会社だったら、自分の考えと似ているのではないか?と思いました。
結局、面接の時は気付いたらトータルで2時間も話してしまっていました。社内の方とありのままの自分で話せて、初めて面接で苦しい感覚になりませんでした。事業内容を聞いたり、会社の方と面接をしている中で、フラットな人間関係で働きたい、新しいことを学びたい、「なぜ?」を大切にしたい自分は、この会社なら合うのではないのかとぼんやり思っていました。そして、ソフトウェア開発が未経験ながら、IT企業の一員になったわけです。
無事に内定をもらって、一応デザイナーとして採用されました。デザインにかかわる仕事はすべてといわれていたので、インハウスデザイナーのようなイメージをしていました。
でも、『デザイナー職で採用したけど、開発もやってもらうかもしれない』と言われて、私は『そうなのかぁ、まあそれも楽しいかもしれないなぁ』と漠然と思っていました。面接の時から、BlueMemeという会社が、プログラミングを専門としない職種の人でもソフトウェア開発ができる、ローコードツールを使っていることはわかっていたので、主にUI部分の調整などにかかわることになるのかもと想像していました。
この時点で、もっとちゃんと勉強しておけばよかったなと思いました…本当に…。今は、ソフトウェア開発とは直接関係ない業務をしていますが、今もちょっとだけ後悔しています…。
ソフトウェア開発を未経験な人ができていた方がいい3つのこと
ということで、これから未経験でソフトウェア開発に関係する仕事をする人たちが後悔しないために、できていた方がいいことが3つあります。
1.英語のリーディング
多くの場合、開発に使うソフトウェアで表示されるエラーやアラートの文章は英語です。日本語に翻訳できる便利なプラグインなどもありません。表示される内容が完璧に読めなくてもいいので、ある程度理解できるレベルにしておいた方がいいです。また、英語のほうが情報が多いので、ざっくりとても読めるようになっていた方が知識を吸収しやすいでしょう。
2.高校数学の数Aの集合
これが理解できていないと、データベース言語SQLを操作するときにつまずきます。私はこの科目で高校の時に赤点を取ったので、SQLでばっちりつまずきました。
3.分からないということを分からないと言う勇気
経験者の方と一緒に働く時、分からないことがあっても言い出しにくい気持ちは誰にでもあるでしょう。でも、理解していないのに『分かりました』と返事をしてしまうのは、後々自分の首を絞めることになります。私は、元々できないことをいいことに、研修中は分からなくなったら都度質問しました。質問することで段々と理解できるようになります。
1と2に関しては、時間がなければ最悪できていなくてもいいですし、仕事で必要に迫られれば、イヤでも覚えることになります。ただ、3だけは勉強したからといって身に付けられるものではないので、意識的にやってみることをお勧めします。
もちろん、何でも聞けば、いつでも誰かがすぐに教えてくれることをあてにする、という意味じゃありません。私も研修中は、毎回業務が終わった後や休日に、習ったことを復習して理解しようと努めていました。研修などでソフトウェア開発に関係する仕事をした場合は、知識を定着させるために必ず復習しましょう。これをやるだけで、だいぶ変わってきます。
最後は、アドバイスめいた話になってしまいましたが、本当に研修はいろんな人に迷惑をかけまくって、申し訳ない思い出がたくさんあります…。私自身も、まだまだいろんなことを学んでいる途中です。ソフトウェア開発が未経験の人も、ちょっとだけ勇気を出して、新しい世界にチャレンジしてみてください。